2011年7月8日金曜日

時間のこと


私は小さい頃、睡眠はタイムワープの手段だと思っていた。
今でも少し、そう思っている。

小さい頃は、今と比べ物にならないほど寝つきが悪かった。
布団にもぐって、夢に落ちるのを待ってもその瞬間がなかなかやってこない夜には、
隣で寝息をたてている人を見るたびに「あー、この人はもう明日にいるのか」とよく思ってた。
自分が眠りに着いて意識がなくなればすぐに明日に行けるけれど、寝付けない限り、明日にワープできない。
ゆっくりゆっくり意識のある時間を過ごさなければならない。
隣で寝ている人はもう明日にワープしているのに、今起きている私だけ長く今日に取り残されているんだ。
と、思っていた。

だから、寝つきの良い人というのは、私が今、今日を生きているのに対して
一週間くらい先を生きているんじゃないかと、思っていたんだ。
解り難いけど、うんと、時間の密度とか、感覚的な速度とか、そういうこと。
小さい頃はそんな難しいことを平気で考えていた。