2010年5月27日木曜日

アリス

私が小学生の時だった。母はかく語りき。
「人間には、悪いことを誰かのせいだという人と、自分のせいだという人の2種類がいると思うのだけど、あなたも私も、後者だね。」

あれは、私がクラスの仲良しグループから突然無視されるようになってしまい、
学校を休ませて、と母に泣いて打ち明けた時だった。
どうしてもどうしても無視される理由がわからなくて、だけど自分が悪いのだ、と泣いていた私に
母はそう言った。

結局1日だけ学校を休んだけれど、やっぱり行かなくちゃいけないって思ったから
意を決して次の日はちゃんと登校した。心が重くて灰色で瀕死の蟻のような気持ちだったけど、
教室に入ってみたらなんてことはなかった。仲良しグループは私を無視するのをやめていた。
そしてかわりにグループ内の他の子が無視されるターゲットになっていた。

仲良しグループの子が無視する相手を決める理由に決定的なものは特に無かった。
ただ誰かを除外してみたりしたいお年頃だっただけだった。
次に無視されるターゲットになった女の子は、顔を両手で覆って声を出さずに泣いていた。
指の隙間からグリンピース大の大粒の涙がぼたぼたぼたと落ちてくる度にキラキラして、
私はその子を宥めながら「アリスの涙みたい」と思ったのを覚えている。

小学生の頃なんか、人を傷つけたくてたまらないお年頃なのだ。
他人と距離感を保って生きている今のほうがのんびりと生きているような気がしてくる。
そんな思い出。

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